9/4 公開プレゼンテーション
- 概要
- 参加予定講評者
- アクセス
- 提案作品講評会
- 現地説明会・調査
- 座談会
- 記念講演会
建築学生ワークショップ
明日香村2016
- 開催の経緯
- 目的
- テーマ
- スケジュール
- 参加者募集
今年度の募集は締切りました
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Architectural Workshop Asukamura 2016 DOCUMENT BOOK | |
9/4(日) 公開プレゼンテーション | ||
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9/4(日) 公開プレゼンテーションを行いました。 講評者の先生方には、学生たちが制作したフォリーを現地で体感いただき、講評していただきました。
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1班 変わるモノ/ 変わらないモノ | 2班 揺れ動く中でみえるモノ | |
3班 あっちもこっちこっちもあっち | 4班 水 の さ さ ら ぎ | |
5班 N O R O S H I | 6班 ウ タ ヨ ミ | |
7班 時をつむぐ場所 | 8班 生きる者、生きた者 | |
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審査の結果、最優秀賞、優秀賞、特別賞が決められ、賞状とトロフィーが授与されました。
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【参加予定講評者】 近畿ニ府四県で教鞭を執られ日本を代表するプロフェッサー・アーキテクトと、世界の構造研究を担い、大学で教鞭を執られるストラクチャー・エンジニアです。また現在、第一線で活躍をされている、若手の建築家や構造家にも参加いただきます。 |
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【アクセス】 公共交通機関利用
車の利用
特定非営利活動法人アートアンドアーキテクトフェスタ(NPO/AAF) E-mail:info@aaf.ac |
7/30(土) 提案作品講評会
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7/2(土) 現地説明会・調査
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【 5/12(木)・5/19(木) 開催記念 説明会・講演会】 ワークショップの参加募集の説明会と、開催を記念して活躍中の建築家・構造家にレクチュアしていただきました。 |
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座談会 | 明日香の歴史や文化、そしてこれからの環境について 森川裕一(明日香村村長) × 長田直之(奈良女子大学准教授)× 平沼孝啓(建築家) |
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――― 全国の学生が参加するこの建築学生ワークショップは、関西圏で開催地を変えながら開催していきます。歴史遺産とされる場所で開催することにより、建築や芸術、デザインを学ぶ若い世代が、特性をはっきりと持つ場所でしか体験できない貴重な経験を通じて、場所のコンテクストから建築の解き方を深めていくきっかけをつくっていきたいと思っています。 森川:明日香村は、生活している空間の中で、集落を出たら突然古墳があったりするところです。 長田:写真で見ていると単なる丘かもしれないけど、ここに立つとやっぱり、やんごとない空気がありますよね。 平沼:キトラ古墳の公開をされる今年、古墳周辺でこのような建築学生ワークショップが開催されることは、とても貴重な機会だと感じています。まずはこの明日香という、現代まで1500年もつづく聖地のような場所の背景にある、この地に暮らした人たちの生活や思想はどのようなものだったのでしょうか。 森川:飛鳥は基本的に"日本の国が始まった所"という価値が大きいと思うのです。日本の国が始まった時は、もの凄く大陸と交流しているんですよ。それまでは日本の豊かな自然を崇拝していたのが、人を統治する仕組みと連携して仏教が入ってくることによって、一体となって新しい日本国というものが形成されていくんですよね。日本では、いろんな国々の知恵を盛り込んで制度をつくり、つくりあげた後で成熟させていくという過程を経るんですけれども、それの最初が飛鳥時代なんだと私は捉えています。明日香村には、飛鳥時代を経て、その時代的な面白さというか、名残みたいなものがいくつもあります。 平沼:なるほど。明日香の歴史がある中で、僕たち建築の設計者としてもそうだし、学生が入ってきて、このコンテクストをどう読み解いて表現していったらいいでしょうか。 長田:イタリアの街って基本的にはチェントロといって、中心があって周辺がどんどん開発されていくんだけど、街の真ん中って本当に時間が止まったみたいに新しい建物が建たない。舗装さえも石畳でしっかりやる感じで、郊外に出てくとアスファルトなんだけど、街の真ん中って500年くらい時間が止まったみたいになっているんですよ。そこにいた感じからすると、今、森川さんが言われたことっていうのは当たり前で、1400年くらいの歴史がある場所で暮らしているんだから、1400年前の断片だとか、江戸の300年前くらいの断片だとかみたいなものにまみれながら生活しているっていうのは凄く当たり前のことのように感じる。 森川:僕もそう思いますね。僕が明日香村で村長を目指した理由は、村全域に明日香法がかかっているんです。昨年ワークショップを開催された高野山は、ある一部の地区なんです。高野山は特殊な地区で非日常。明日香村は非日常であるんだけど、日常の空間なんです。生活空間でもあるし、活動空間でもあらねばいけない。普通に生活して、もっと豊かさを感じられるエリアになったら、ここはきっと日本の中でも極上の場所になるんだろうと思います。 長田:そうそう、だから山にずっと囲まれている感じが、ヨーロッパでいうと城壁の代わりに四方が山で、幾重にも織られた山の中にぽんと明日香村ってあるわけですね。その感じが、自分たちがつくった城壁の中に街を作ったヨーロッパ人とは明らかに感覚が全然違って、空間意識も違って、自然の織りなす山の間にぽっと街があるという、その風景は多分日本の、広くいうと東アジアでしょうけど、空間の感覚はこういうところから始まるんだろうなとすごく思いますよね。 森川:日本は、自然とどう向き合うかなんですよね。津波、地震、火山、台風、自然の天変地異がいっぱいあるわけです。自然と向き合うのが絶対的に必要なんです。だから震災があっても人はあんまり略奪し合ったりせずに、みんなで災害と向き合うことを優先するんだと僕は思っています。 長田:本当は必要ですよね。建築であったら文脈があると思う。コンテクストを日本の中のほかの町で考えることはほぼない。ヨーロッパの建築家がコンテクストって言っているのは、明日香とかこれくらいの例えば1000年とかさ、500年くらいのある種の時間の堆積が空間だと思っているんですよ。時間の堆積が空間だと思っているから、その空間に対してコンテクストってのがあるんだよっていうのが向こうの共通理解なんだけど、日本に入ってくると、隣になにが建っているとか、川が流れているかいないとかがコンテクストだと。もう読めなくなったり消えてしまったりしているものだから、それを無理やりつくっているんだけども、奈良とか明日香とか、ここにくると本当にそう感じられるコンテクストというか、そこに立つだけで見えてくる空間の厚みというか、時間の堆積が感じられるというのは凄く大きいと思うんですよ。右肩上がりの高度経済成長期であれば、そんなこと考えずにやっていた方が上手くいったかもしれないけど、今、こう仕組みでは上手くいかなくなっているわけで、次の新しい時代にどうやって私たちが豊かさを感じるようにするかと考えたときには、この明日香のモデル、堆積は凄い資産だと思うんですよ。これから、どんどん新しい建築を日本で建てることなんて難しい訳だから、それを丁寧に読み解いて1つずつつくっていくことが建築家にとっても極めて重要な仕事ですよね。 森川:凄く共感します。歴史の厚み。何気なくそこに並んでいる風景とか、歴史の空気みたいなものがある。それと自然との距離感。そういうことを持った上で、どういう風に生きていくのか。建物がその中でも一番長期に使うものであり、一緒に暮らすもの。それで、さっきの話のように維持していく難しさがあると思うんです。僕は、文化というのは螺旋状に動いていくもので、上書きしていく際に元々の自然と歴史を大切なベースにしながらも、仕組みは変わって行かなければならないと思っているんです。建物は良いとしても建物の中の設えは変わっていかないと生活と合っていかない。改築の仕組みとか間取りをどう取り直すかっていう仕組みは変えていくべきだろうし、新築もあって然るべきだと思っているんですよ。元々の自然や風土に合った新築をどうつくるかという色んなトライアルをして欲しいと思っています。 平沼:今のような風景を残し続けることは、どのような難しさがあるのでしょうか。 森川:田園風景を維持するってむずかしい。明日香で見えているのは自然そのもの、原生林ではないんです。自然と人間が共生している風景なんです。長田:土木的なっていう考え方が近い。ヨーロッパに行くと水路とか石張りじゃないですか。畦つくって水を流しているなんて極めて日本的ですよね。畦がランドスケープになっていて、この風景を作っている訳だから人の手が入っているんですよ。自然にできる訳じゃないから、本当にナチュラルな自然ではないんです。 平沼:自然との共生を維持する為にはある程度の人口が必要になるのでしょうか。 森川:そうなんですよ。だから私は明日香村の人口減に歯止めをかけることが重要と思っています。ある程度、集落を維持する事によって、集落の周辺の歴史的風土と自然との共生している空間が維持できる。その空間を面白いと思う人にはたくさん来てもらって、その人達とその風景を一緒に維持していくという循環を作り出して行きたい。 長田:建築っていうのは、環境全体によって成立していて、維持管理とかメンテナンスをする仕組み全体が風土なんだろうなって思うんですよね。今、建設材料が高いっていうのも、その仕組みが段々崩壊してきたんでしょ。元々は、大工さんが暇な時にやりながら、何年掛かるかわからんけどねって言いながらできていったから、それで問題なかった。だけど、工期が何ヶ月で、材料はどっかの工場で作って持って来るとかなると、その仕組みで回らなくなるから、生産によって空間が破壊されるという事も起きていく訳ですよね。明日香ではそれとは違う仕組みを頑張って残していて、ひょっとすると今の若い人は、宅地開発して建てた住宅に住むよりも、こういう所に住んで自然の環境を感じながら住む豊かさを考えてもいいのではないかと思います。 森川:明日香を五感で感じて欲しい。明日香の土地を視覚で感じるだけでなく、万葉集に詠まれた"明日香風"を肌で感じるとか、飛鳥川を耳で感じるとか。五感でいろいろな感じ方があるでしょうから、自分が一番感じた"感"のところで表現してよ、と言いたいですね。 ――― たいへん貴重なお話しを聞くことができました。今日はどうもありがとうございました。この座談会を通じて、参加学生にとって、とても貴重で意義深いものになると期待しています。そして、将来、この場所で開催した意義につながっていくような作品を募りたいと思います。 (2016年1月 明日香村役場にて) |
聞き手:NPO│AAF(田中天・京都造形大学大学院生) |
編集後記 2010年 平城宮跡(奈良)で開催をした時は、制作場所と設置場所が分離をした状態での合宿に挑みました。仮組みを行い設置する場所に運搬し組み立てるのですが、敷地のアンジュレーションを読み取らず、完全にフラットな状態だと思い込んだ私たちは、公開プレゼンテーションの当日の朝まで、夜通しかけて応力という「バランス」を体験で知る機会になりました。竹生島(滋賀)は琵琶湖に浮かぶ島。島への渡航手段はもちろん船です。自然環境という関係性と地理的な位置づけを身体的に感じながらも、制作が天候に左右されてしまうため、穏やかに晴れることを祈る毎日。そしてこの島がもつ魅力に惹かれるようになり、琵琶湖の雄大な環境に囲まれ、古来より多くの人が祈りを捧げてきた地で、何としてでも、この小さな建築を実現したいという願いが日増しに強くなり、参加メンバーの絆な深まり、最終の発表会では感極まり、多くの参加学生が泣き出していました。そして昨年は、世界遺産の地、高野山での開催。このWSに参加をした学生どうしの絆が本当に深まり、また生涯を通じてかかわりつづけることの意味を知る貴重な機会になりました。この取り組みを始めてから5年。18歳だった私も24歳になり大切な記憶が毎年増えていきます。 |
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【制作内容】
2016年2月1日(月) ~ 5月31日(火)23:59 必着 今年度の参加申込みは締切りました 【参加対象者】 建築および都市、環境、デザイン、芸術など、これに類する分野を学ぶ学生および院生 【参加人数】 定員 50名程度 (大学院生8~10名+学部生40~48名) 8グループ を予定しています。 ※ 参加申し込み多数の場合は、主催者による選考をおこないます ※ 原則として、先着順の応募を優遇しますのでお早めに応募ください 【運営サポーター募集】 開催期間中、合宿期間中の運営サポーターを募集いたします。(学部は問いません) 定員 5~10名程度(参加費無料・開催期間中宿泊費無料) ※ 現地までの交通費は各自別途負担となります 今年度の参加申込みは締切りました |