全国の大学生たちが小さな建築を、明治神宮境内に8体実現。


チラシ
PDFダウンロード
/PDF download


開催延期のお知らせ
/PDF download

開催再延期のお知らせ
/PDF download

感染予防対策(210821発表)
/PDF download


参加募集パンフレット

(座談会)
PDFダウンロード
/PDF download


プレスリリース
PDFダウンロード
/ PDFdownload

2021年夏、現代に受け継がれてきた、わが国を代表する神社・明治神宮神域にて、小さな建築空間を実現する建築学生ワークショップを開催します。わが国の元旦、三箇日の初詣では、300万人を超す第一位の参拝者数からも、その年、はじめに最も信じられている聖地であるといえ、22万坪(約73ヘクタール)に及ぶ広大な神域と森に囲まれています。内苑と外苑に分かれたこの森は、人工的に造られた太古の原生林としても存在し、東京で絶滅したはずの生物3千種もの生息した宝庫であります。またこの造営には全国から11万人以上もの国民が労力奉仕に自発的に参加し、鎮座祭は1920年(大正9年)11月1日に行われました。百年を経て、明治神宮で開催いたします。

 

開催地(東京都)における緊急事態宣言の再延長に伴う 開催・再延期のお知らせ
~建築学生ワークショップ明治神宮2021 (2021年9月11日発表) 

(これまでの経緯)
昨年より国内でも大きく広まりはじめた新型コロナウィルスの発生により、開催地の明治神宮様と連携し本開催への協議を重ねてまいりました。関係者の皆さまや、予ねてから本開催のファシリテーターの役割を担う先生方や後援・協賛をいただく団体・企業の皆様にもご意見を伺いながら、日を追うごとに事態の状況が変化していくこの事態に適切に備え、本開催は徹底した感染予防拡散防止対策を実行いたしました上で、予定通りに実施させていただく準備を整えてまいりました。7月8日政府により発表されました4度目の緊急事態宣言は「7月12日より8月22日まで」とされ、7月30日には発令中の緊急事態宣言を「8月31日を期限に延長」されることが発表されました。開催地・東京都の新型コロナウイルスの感染状況に注視し、開催の開催検討を繰り返してきましたが先般8月17日に宣言の効力が「9月12日」と期間の再延長され、開催の2週間延期を決定いたしましたが、再度9月9日には「9月30日」までの再延長が政府より全国に向けて発表されましたことから、このたびの再延期を決定いたしました。

(半年の延期とした理由)
このワークショップのファイナルは夏休みを利用した合宿を予定しております。先日(公開日:9/12(日)→ 9/26(日))への2週間延期のご案内を差し上げた翌週の10月からは、多くの大学は授業が始まる時期となります。 年末年始をはさむ冬休みの開催を検討したのですが、明治神宮・平時の初詣三箇日では、三百万人を超す参拝者数からも、多くの方々がお参りにこられる時期の実施制作となり、皆様にも明治神宮様にもご負担をお掛けすることになります。このため参加学生のうち、今年度にて卒業する者にも配慮し、来春(合宿期間3/1~3/7:公開日3/6(日))に再延期の開催を設けることとなりました。この状況におきましても中止とせず、実学(教育)の現場を継ぎ、開催させていただけるご判断をいただきました明治神宮様に深く感謝をいたしながら、皆様にはこの発令の延長により、開催日程の延期となり、ご迷惑をおかけする事態となりましたことを、深くお詫び申し上げます。



【参加予定講評者】
建築・美術両分野を代表する評論家をはじめ、第一線で活躍をされている建築家や
世界の建築構造研究を担い教鞭を執られているストラクチャー・エンジニアによる講評。
また、近畿二府四県の大学で教鞭を執られ、日本を代表されるプロフェッサー・アーキテクトにご参加いただきます。

伊東 豊雄 (建築家|伊東豊雄建築設計事務所 主宰)
太田 伸之 (日本ファッションウイーク推進機構・実行委員長)
建畠    (美術評論家|多摩美術大学 学長)
ナガオカケンメイ(デザイン活動家|D&DEPARTMENTディレクター)
南條 史生 (美術評論家|森美術館 特別顧問)
前田 浩智 (毎日新聞社 主筆)

五十嵐太郎 (建築史家・批評家|東北大学 教授)
稲山 正弘 (構造家|東京大学 教授)
江村 哲哉 (構造家|アラップ構造エンジニア)
倉方 俊輔 (建築史家|大阪市立大学 准教授)
腰原 幹雄 (構造家|東京大学 教授)
櫻井 正幸 (旭ビルウォール 代表取締役 社長)
佐藤    (構造家|東京大学 准教授)

芦澤 竜一 (建築家|滋賀県立大学教授)
遠藤 秀平 (建築家|遠藤秀平建築研究所 主宰)
竹原 義二 (建築家|神戸芸術工科大学 客員教授)
長田 直之 (建築家|奈良女子大学 准教授)
平田 晃久 (建築家|京都大学 教授)
平沼 孝啓 (建築家|平沼孝啓建築研究所 主宰)
藤本 壮介 (建築家|藤本壮介建築設計事務所 主宰)
安井 昇   (建築家|桜設計集団 代表)
安原    (建築家|東京大学 准教授)
横山 俊祐 (建築家|大阪市立大学 客員教授)
吉村 靖孝 (建築家|早稲田大学 教授)




【スケジュール】  
2020年
02月20日(木)

事業計画(草案)決定と座談会の開催
11月08日(日) 参加者募集開始(WEB公開)
2021年
01月08日(金)

プレスリリース配信
05月06日(木) 参加説明会開催(東京大学) 五十嵐太郎
05月12日(水) 参加説明会開催(京都大学) 倉方俊輔
05月14日(金)23:59必着 参加者募集締切(参加者決定)
06月05日(土) 現地説明会・調査
06月19日(土)午後予定 各班エスキース(東京会場・大阪会場)
07月03日(土)~ 04日(日) 提案作品講評会(1泊2日)
      03日(土)   提案作品講評会
      04日(日)   実施制作打合せ
07月05日(月)~09月20日(月) 各班・提案作品の制作

2022年
03月1日(火)~03月07日(月)

合宿にて原寸制作ファイナル(6泊7日)
     01日(火)   現地集合・資材搬入・制作段取り
     02日(水)~ 05日(土)   原寸模型制作(実質4日間)
      06日(日)   公開プレゼンテーション
     07日(月)   清掃・解散
 

【開催の経緯】

 建築ワークショップとは、建築や環境デザイン等の分野を専攻する学生がキャンパスを離れ、国内外にて活躍中の建築家を中心とした講師陣の指導のもと、その場所における場所性に根づいた実作品をつくりあげることを目的としてきました。2001年度から始まったこのワークショップは過去に山添村(奈良県)・天川村(奈良県)・丹後半島(京都府)・沖島(滋賀県)などの関西近郊の各地で行われ、それぞれの過疎化した地域を対象に提案し、市や街、村の支援を得ながら、有意義な成果を残してきました。

 第10回目の開催となった2010年度より、新たに今までの取り組み方の志向を変え、一般社会にも投げかけてゆけるような地元の方たちと共同開催での参加型の取り組みとなっていくことを目指し、「平城遷都1300年祭」の事業として、世界文化遺産(考古遺跡としては日本初)にも指定されている奈良・平城宮跡で開催しました。続く2011年度は滋賀・琵琶湖に浮かぶ「神の棲む島」竹生島(名勝史跡)にて、宝厳寺と都久夫須麻神社と共に開催。無人島とされている聖地に、地元周辺の方たちと汽船で通う取り組みを行いました。

 2015年は、開創法会1200年となる100年に1度の年に、高野山・金剛峯寺(世界文化遺産)との取り組みから、境内をはじめ周辺地区での開催をし、2016年には、昭和58年11月7日に聖地・キトラ古墳で、ファイバースコープによって北壁の玄武図が発見されてから30年を経て、公開される直前のキトラ古墳と国営飛鳥歴史公園の開演プレイベントとして、キトラ古墳の麓に小さな建築を8体実現。2017年には、国宝根本中堂「平成の大改修」始まりの年に、「古都京都の文化財」の一環としてユネスコの世界遺産に登録された、京都市と大津市にまたがる天台宗総本山・比叡山延暦寺にて開催。そして2018年には、天皇陛下生前退位をされる前年、満了する平成最後の夏に、伊勢にて開催。2019年は、「平成の大遷宮」完遂の年に、出雲大社にて開催。2020年には、国内初のプリツカー賞受賞式の聖地に於いて、東大寺にて開催いたしました。

 

【開催目的】
1.学生のための発表の場をつくる
 学内での研究活動が主体となっている学生にとって、一般市民に開かれた公開プレゼンテーションを行うこと自体が非常に貴重な体験となります。また、現在建築界で活躍する建築家を多数ゲスト講師に迎えることで、質の高い講評を参加者は受けることができます。また、ワークショップ終了後の会場での展示や、会期報告としてホームページや冊子の作成を行い、ワークショップの効果がさらに継続されるような仕組みをつくります。
2.教育・研究活動の新たなモデルケースをつくる
 海外での教育経験のある講師を招聘する等、国際的な観点から建築や環境に対する教育活動を行うワークショップとして、国内では他に類を見ない貴重な教育の場を設けます。また、行政や教育機関の連携事業として開催することで、国内外から注目される教育・研究活動として、質の高いワークショップをつくることを目指します。
3.地球環境に対する若い世代の意識を育む
 現在、関西地方には、世界に誇る貴重な文化遺産を有する京都や奈良、琵琶湖や紀伊半島の雄大な自然など、豊かな環境が数多く残っています。しかしながら、近年の社会経済活動は環境への負荷を増大させ、歴史的に価値の高い環境をも脅かすまでに至っています。このワークショップでは一人一人が地域環境の特殊性、有限性を深く認識し、今後の建築設計活動において環境への配慮を高めていくと同時に、地球環境の保全に貢献していくことをねらいとしています。次世代を担う学生たちが、具体的な経験を通して環境に対する意識を育むことは、環境と建築が共存できる未来へと、着実につながるのではないかと考えます。 4.地域との継続的な交流をはかる
 歴史、文化、自然が一体となって残る地域の特色を生かしたプログラムを主軸に、特殊な地域環境や、住民との交流によって生み出される制作体験を目的としています。各地域には、それぞれの土地で積み重ねてきた歴史や文化、風土があり、短期間のイベントであればそれらを深く知ることはできませんが、数ヶ月にわたる継続的な活動を前提として取り組むことで、より具体的な提案や制作によって、地域に還元していくことができると考えています。

“今、建築の、原初の、聖地から” 杜の未来のために建築ができること


 その場所のもつ歴史や意味、地形や風の流れといった文脈を読むことを始点として建築はつくられていきます。つまり建築にとって「場」を読み解くことは始まりであり、最も重要なことといえます。これを学ぶことは建築の道を歩み始めた学生にとって大切であり、実地でなければ学び得ないことだと考えています。

 わが国の元旦、三箇日の初詣では、300万人を超す世界第一位の参拝者数からも、その年、はじめに最も信じられている聖地であるといえる明治神宮は、22万坪(約73ヘクタール)に及ぶ広大な神域と森に囲まれています。内苑と外苑に分かれたこの森は、人工的に造られた太古の原生林としても存在し、東京で絶滅したはずの生物3千種もの生息した宝庫であります。またこの造営には全国から1万人以上もの国民が労力奉仕に自発的に参加し、鎮座祭は1920年(大正9年)11月1日に行われ、ちょうど本開催が、百年目を迎えた最初の夏となります。「聖地」とした清らかな場に身を置き、この歴史環境を現代にも残す貴重な環境で、全国から集まる建築学生らがこの伝統的な構法に触れ、この場に位置づけた建築の解釈を生み出す貴重な経験と、「明治神宮」に関わる人々と共に取り組む機会としたいのです。

 2021東京オリンピックを機に、世界中から注目されている東京の中心に、日本全国で建築を中心としたものづくりを学ぶ大学生、院生らが約1週間滞在し、長い歴史に受け継がれてきた学問の精神と技術を未来へとつなげていくために、「今、建築の、原初の、聖地から」伝えていくべきことをそれぞれが真剣に考え、原寸大の空間として表現します。境内を中心とする周辺区域において、大学生たちの作品を展示することで、訪れた人が中に入り、心を落ち着かせ、歴史と対話することができるような、小さな建築空間を1日だけ創出します。

 将来を担う学生たちが今という時代に向き合い、この場所でできることに全力で取り組む。境内には、宝物殿他 13棟が重要文化財となり近現代における主要都市のまちづくりでは最も貴重となる御社殿をはじめとした伝統的な神社儀礼の宝庫となる貴重な文化財を多く蔵し、世界各地から多くの参詣に訪れるこの地で共に学んだ空間を発信していきます。学生たちはきっと、その若い感性によって新たな発見をし、日本のナショナリティを未来へ継ぎ、創造する提案をしてくれることでしょう。

【建築学生ワークショップとは】

 建築ワークショップとは、建築や環境デザイン等の分野を専攻する学生がキャンパスを離れ、国内外にて活躍中の建築家を中心とした講師陣の指導のもと、その場所における場所性に根づいた実作品をつくりあげることを目的としてきました。2001年度から始まったこのワークショップは過去に山添村(奈良県)・天川村(奈良県)・丹後半島(京都府)・沖島(滋賀県)などの関西近郊の各地で行われ、それぞれの過疎化した地域を対象に提案し、市や街、村の支援を得ながら、有意義な成果を残してきました。

 第10回目の開催となった2010年度より、新たに今までの取り組み方の志向を変え、一般社会にも投げかけてゆけるような地元の方たちと共同開催での参加型の取り組みとなっていくことを目指し、「平城遷都1300年祭」の事業として、世界文化遺産(考古遺跡としては日本初)にも指定されている奈良・平城宮跡で開催しました。続く2011年度は滋賀・琵琶湖に浮かぶ「神の棲む島」竹生島(名勝史跡)にて、宝厳寺と都久夫須麻神社と共に開催。無人島とされている聖地に、地元周辺の方たちと汽船で通う取り組みを行いました。

 2015年は、開創法会1200年となる100年に1度の年に、高野山・金剛峯寺(世界文化遺産)との取り組みから、境内をはじめ周辺地区での開催をし、2016年には、昭和58年11月7日に聖地・キトラ古墳で、ファイバースコープによって北壁の玄武図が発見されてから30年を経て、公開される直前のキトラ古墳と国営飛鳥歴史公園の開演プレイベントとして、キトラ古墳の麓に小さな建築を8体実現。2017年には、国宝根本中堂「平成の大改修」始まりの年に、「古都京都の文化財」の一環としてユネスコの世界遺産に登録された、京都市と大津市にまたがる天台宗総本山・比叡山延暦寺にて開催。2018年は、天皇陛下生前退位をされる前年、満了する平成最後の夏に、伊勢にて開催。 2019年は、「平成の大遷宮」完遂の年に、出雲にて開催。そして2020年、世界中が影響を受けた情勢により、開催が危ぶまれましたが、約1300年、疫病の復興を願われて建立された盧舎那仏(大仏様)のお背中で、学問の原初の聖地、東大寺にて開催を果たし、2021年の開催は、鎮座百年を迎えた夏、明治神宮にて開催を予定しています。

 このような日本における貴重でかけがえのない聖地における環境において、地元の建築士や施工者、大工や技師、職人の方々に古典的な工法を伝えていただきながら、日本を代表する建築エンジニアリング企業・日本を代表する組織設計事務所の方々や多くの施工会社の皆様、そして建築エンジニアリング企業の方たちによる技術者合宿指導により実制作を行い、地元・地域の多くの方たちによる協力のもと、原寸の空間体験ができる小さな建築物の実現と、一般者を招いた公開プレゼンテーションを行う等、これまでにない新たな試みを実施する『全国の大学生を中心とした合宿による地域滞在型の建築ワークショップ』です。

 
2020年度開催の様子(こちら → )
 

7/3(土) 提案作品講評会

1 泊 2 日にて「提案作品講評会」と「実施制作打合せ」による具体的な施工方法の検討会を開催しました。

1 日目には、各班より提案作品の発表を行い、技術者合宿指導の中心を担われる施工者代表者、そして、日本を代表される多くのプロフェッサー・アーキテクトや、ストラクチャー・エンジニアによる講評会を実施しました。 明治神宮禰宜の水谷様にミニレクチャーも行っていただきました。 
   
各班長への質疑応答
  アドバイザーの皆様への説明の様子
 
   
講評者の皆様
  アドバイザーの皆様
 
 

7/4(日) 実施制作打合せ

2日目には、各班の設計趣旨と、前日の講評結果を受け日本を代表する組織設計事務所、施工会社により技術指導をいただくため、多くの技術者をアドバイザーに迎え、各班の制作準備となる素材決定や加工方法、実制作の準備や発注、試作から完成に向けた具体的な施工方法の検討会を実施しました。今年は講評者の皆様も駆けつけてくださり、前日から再度練り直した案をクリティークしていただき、活発に議論を交わすことができました。 

   
1班への制作アドバイス
  2班班長発表の様子
 
   
3班への制作アドバイス
  4班への制作アドバイス
 
   
5班への制作アドバイス
  6班への制作アドバイス
 
   
7班への制作アドバイス
  8班への制作アドバイス
 

6/19(土) 各班エスキース 東京会場(東京大学)&大阪会場(平沼孝啓建築研究所)

各班の作品のクオリティを高める目的で始まった取り組みとして「各班エスキース」を開催させていただきました。東は東京大学・腰原研究室にて、腰原先生、佐藤先生、長田先生、吉村先生、江村先生がご参加くださり、西は平沼孝啓建築研究所にて、芦澤先生、片岡先生、陶器先生、平沼先生がご参加くださいました。会場間をskypeで中継し、先生方より、提案作品への貴重なご指導を賜りました。

 
 
東京会場の様子①
  大阪会場の様子①
 
東京会場の様子②
  大阪会場の様子②
 
東京会場の様子③
  大阪会場の様子③
 
東京会場の様子④
  大阪会場の様子④

6/5(土) 現地説明会・調査

現地にて、各計画候補地の視察と調査を行い、課題テーマに対するコンセプトを発表しました。
はじめに主催者より、開催概要、経緯、開催地の説明を行い、開催テーマを発表しました。明治神宮 禰宜 水谷様、日本建築家協会の三井所様にミニレクチャーをいただきました後、、水谷禰宜様と東京工業大学名誉教授の藤岡先生より実際に境内をご案内いただき、広い内宮の意味合いや歴史、造詣デザイン、年間を通してのならわし・行事についてご教授いただきました。その後藤岡先生よりショートレクチュアで明治神宮の建築について詳しくご説明いただき、各班の計画地を決定しました。後半では、現地で感じたことから、神聖な地において、何を表現し、伝えたいのか、そのための手段や方法を検討し、具体的な提案まで構想を進め、後半より駆けつけてくださいました、腰原先生、長田先生、平沼先生、佐藤先生(リモートにて)をはじめとする、構造家、建築家の皆様より、コンセプトワークをご指導いただきました。

集合写真
 
明治神宮禰宜・水谷様によるご挨拶
  東京工業大学名誉教授・藤岡先生によるレクチュア
 
水谷様による計画地(境内)ご案内
  藤岡先生による各所のご説明
 
現地説明会の様子
  各班のコンセプトメイキングの様子
 
各班のコンセプトメイキングの様子
  各班で決定したコンセプトの発表

【開催記念 説明会・講演会】
ワークショップの参加募集の説明会と、開催を記念して活躍中の建築史家にレクチュアしていただきました。

京都会場
京都大学(吉田キャンパス)
百周年時計台記念館
国際交流ホールIII

文学部 第3講義室
京阪本線「出町柳駅」徒歩10分
京都市営バス「京大正門前」または「百万遍」下車 徒歩10分

5月12日(水)18:30-20:00(18:00開場)
入場無料|定員: 先着100名|要申込


基調講演 倉方俊輔(建築史家)
1971年東京生まれ。大阪市立大学准教授。早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院博士課程修了。伊東忠太の研究で博士号を取得後、著著に『神戸・大阪・京都レトロ建築さんぽ』、『東京モダン建築さんぽ』、『吉阪隆正とル・コルビュジエ』、『伊東忠太建築資料集』ほか多数。日本最大級の建築公開イベント「イケフェス大阪」、品川区「オープンしなけん」、Sony Park Projectに立ち上げから関わる。日本建築学会賞(業績)、日本建築学会教育賞ほか受賞。

 

●ひとことコメント 
建築学生ワークショップに参加する私たちは、多くの人との関わりの中で、ものとぶつかり絆を生みながら、鎮座百年を迎えた明治神宮を設計した伊東忠太の精神を受け継ぎ、現実的な単位という大学に与えられた達成目標をこなしていくような現代の合理性を追求するのではなく、失敗をするくらい途方もないような大きな問いを立て、その中で起こり得る数多くの困難を恐れず、自らの実体験として挑戦する。「自らを超えていく考えと行動力で実行できる、大きな取り組みにしてほしい」とのお言葉に、聴講者一同が大いに勇気づけられた。

アートアンドアーキテクトフェスタ/宮本勇哉(神戸芸術工科大学4年)  山本康揮(大阪工業大学修士1年) 奥西真夢(京都府立大学3年)



4/13(火) アドバイザー会議

全国から応募し選出される参加学生の決定に先立ち、建築や芸術、環境やデザインを学ぶ学生(学部生・院生)らの提案・制作の指導・補助、材料提供・手配、実施におけるアドバイザー(建築技術者)の皆様に実施の交流を促すため昨年より設けましたこの集まりは、昨年(東大寺2020開催)、新型コロナによる影響により、全国へ発令された緊急事態宣言のため実施できず、本年の開催より初めて実施しました。
近い将来、我が国の建築会を担う後進に向けて、実務経験豊富な建築技術者の皆様から指導を頂戴できる、貴重な機会を共有する目的。本開催に継続的な支援をくださる、エンジニアリング企業の旭ビルウォール代表の櫻井様が先頭に立ち、関東甲信越を中心とする建築技術者の皆様と、開催全体のスケジュールと共有し、提案作品講評会(本年:7/3土曜日)と、翌日実施制作打ち合わせ(本年:7/4日曜日)に向けて、本年の開催が始動いたしました。

アドバイザー会議の様子

 
明治神宮禰宜・水谷様よりミニレクチュア   明治神宮権禰宜・小野様よりご挨拶
 
明治神宮禰宜・水谷様による、境内(計画地)のご説明
  明治神宮禰宜・水谷様による、境内(計画地)のご案内
 
集合写真
  アドバイザー会議の様子
 
講評者・運営学生代表 正式参拝
  明治神宮宮司・九條様、権宮司・網谷様と講評者・運営学生代表

座 談 会 | “今、建築の、原初の、聖地から”  
建築学生ワークショップ明治神宮2021

水谷敦憲 (明治神宮|禰宜 管理部部長)✕廣瀬浩保(明治神宮|禰宜 宝物管理部部長)
✕黒田泰三(明治神宮|明治神宮ミュージアム 館長) ×腰原幹雄(構造家|東京大学生産技術研究所 教授)
×櫻井正幸(エンジニア|旭ビルウォール代表取締役社長) ×平沼孝啓 (建築家|平沼孝啓建築研究所 主宰)


座談会の様子 (明治神宮隔雲亭にて)




本殿


初詣


夫婦楠


座談会の様子


隔雲亭にて

―――全国の大学生が参加するこの建築学生ワークショップは、毎年、場所を移しながら開催してきました。歴史と場所の特性をはっきりと持つ開催地と、周辺の生活文化を合わせて調査することにより、観光として訪れるだけでは知りえない、街や地域との関わりや建築を保全していく造り方の技にも触れ、制作を含めた実学としての地域滞在を叶えます。神聖な場所の静粛な空間からコンテクストを見出し、現場で建築の解き方をさぐるきっかけを経験していきます。わが国の正月三が日の初詣では、300万人を超す第1位の参拝者数からも、世界を代表する聖地であるといえる明治神宮は、22万坪(約73ヘクタール)に及ぶ広大な神域と森に囲まれています。内苑と外苑に分かれたこの森は、太古の原生林と見まがう人工の森として存在し、東京で絶滅したはずの生物が数多く生息する場所です。また、造営には全国から述べ11万人もの青年が勤労奉仕として参加し、鎮座祭は1920年(大正9年)11月1日に行われ、令和2年にちょうど百年を迎えます。境内にある宝物殿13棟が重要文化財である近現代における主要都市のまちづくりで最も貴重となる「聖地」。この清らかな場に身を置き、かつ歴史環境を現代にも残す貴重な環境の中で、全国から集まる建築学生らが伝統的な構法に触れ、この場に位置づけた建築の解釈を生み出したいと考えています。つまりこの場所の特性を用いるため、「歴史」「場所性(地形)」「現代の問題」の3つの観点から提案に求めるものを探り、現代に受け継がれてきた明治神宮で、空間性へのテーマや実現へのコンセプトのヒントとなる話題を、この座談会を通じてお聞かせください。

本日は開催地として多大なご尽力をくださいます明治神宮にて、全国の参加学生に向けてお導きをくださる、水谷管理部長をはじめ、廣瀬宝物管理部長と、明治神宮ミュージアム黒田館長にもご参加いただき、本年、令和2年11月の「鎮座百年祭」を終えた翌年の開催についてお聞きしたいと思います。皆さま本日はどうぞよろしくお願いいたします。

平沼:1912年(明治45年)に明治天皇が崩御され、立憲君主国家としては初めての君主の大葬であったことから記念するための行事が計画され、東京に神宮を建設したいとの運動が天皇を崇敬する東京市民から起こり、造営が進んだと伝えられています。つまり民意の寄付や労力で造営されたのがこの明治神宮ということでしょうか。また、この地が現代にまで続く聖地のような神聖な場所となり現代にも継いで来られた思想の背景と、この原宿・代々木周辺に暮らす人たちの当時の生活文化はどのようなものだったのでしょうか。建設にこの地が選ばれた意図などもお聞かせください。

廣瀬:平沼先生のご指摘の通りこの明治神宮誕生の歴史は、明治45年の明治天皇の崩御に遡ります。夏目漱石の「こゝろ」の有名な一節がございます。「すると夏の暑い盛りに明治天皇が崩御になりました。其時、私は明治の精神が天皇に始まって天皇に終わったような気がしました」というものです。当時の日本は、日清・日露戦争など、開国以来数々の国難が重なり、明治天皇を心の支えとして乗り切ってきた人々にとって崩御というのはまさに、目の前が真っ暗になることであったと思います。そして、その崩御当日の7月30日には早くも、東京市長の阪谷芳郎が宮内次官に、また日本橋区会議長の柿沼谷蔵が渋沢栄一に東京の陵墓の選定を哀願していますが、天皇のご遺言から陵墓は、伏見桃山となりました。そこで御陵選定の請願運動は天皇を祀る神社の創建運動へと大きく転換いたします。その後、この代々木に鎮座地が決まり、大正4年から造営が始まりました。造営に際して「3大美談」というものがあります。1つ目は、全国からの約10万本の木の奉納があったこと、2つ目は延べ11万人に及ぶ青年団の勤労奉仕があったということ、3つ目は、一般の国民の会である明治神宮奉賛会の寄付によって造られた外苑が明治神宮に奉献されたということです。民意をきっかけにした多くの民衆の尽力によって造営されたのが明治神宮だといえます。

水谷:鎮座地選定に際し、埼玉の朝日山や宝登山、東京の御嶽山やもちろん富士山もそうですが、様々な地から手が挙がりました。その中から候補地が東京に絞られて行き、明治天皇に最もゆかりの深い場所が選ばれ、この代々木の南豊島御料地に決まりました。今日皆様と会するこの隔雲亭は、明治天皇の皇后である昭憲皇太后のために建てられ、皇后様が度々行啓になられた場所です。この御苑は江戸時代から加藤家や井伊家の下屋敷の庭園でもあり、加藤清正が掘ったと伝わる井戸が現存し、パワースポットとして、注目を集めております。また、明治天皇の思召しにより花菖蒲が植えられ、毎年6 月になると花菖蒲を見に大勢の方がお越しになられます。この建物は、東京大空襲がありました昭和20 年5 月に焼失し、昭和33 年の御本殿復興に合わせて再建されたものです。元々この杜は、御苑以外の正参道や御本殿周辺を始め境内全域、野原でした。そのような場所を全国から延べ11 万人もの青年団の方々が、勤労奉仕で参道をつくり木を植えられました。

腰原:参道ができる前の何もない野原、この表参道の写真を見たことがあるのですが、この隔雲亭は、ポツンと建っていたのですか。

水谷:隔雲亭は、明治33年から御苑の中にありましたが、今は鬱蒼と茂っている森も当時は何本かが植わっているような状態でした。ここ代々木の地名の元となったモミの木の二代目が境内にありますが、当時は大変な巨木で東京の下町からでも目印になったそうです。また御社殿につきましては、昨年開催の出雲大社、一昨年開催の伊勢神宮とは異なり、明治神宮は式年遷宮がないのが特徴です。しかし、昭和20 年の4 月の空襲で何千発という焼夷弾が落とされ御社殿は焼失してしまい、現在の御社殿は昭和33 年11 月の復興です。結果として二度、造営されその都度、当代一流の建築技術者の方々が建築様式のみならず資材についても侃侃諤諤の議論をされた非常に珍しい神社だと思います。大正の創建時には、建築様式も出雲大社のような大社造りや、伊勢神宮のような唯一神明造りなどの案も出されました。しかし文明開化を進められた明治天皇ですから、記念館のような建物が良いのではないか、また資材につきましても、木造ではなく石やレンガ、鉄筋コンクリートなどの不燃物でという案が議論されています。実は私の大学の卒業論文が神社建築についてで、築地の本願寺のような日本的ではない建物を設計した当時造営局の参与伊東忠太先生が、なぜ流造を採用したのか非常に興味を持ちこの辺りの研究を致しました。伊東先生は当初、革新的な提案をされて居られましたが、やはり神社という特別な建物で、精神的、神秘的なものを持っていなければならないというお考えに変わられた記録が残されて居ります。最終的には神社として、一般的様式を大成して建築としても進歩の域に達したのは「流造」であるという意見が出され、木造の流造に決定しました。屋根も檜皮か銅板のどちらの材で葺くのかと議論がされ、現在とは異なり檜皮葺となりました。また、昭和33年の復興の際にも同様に建築様式と資材について、角南隆先生を中心として議論がなされ、二度と再び焼失してはならないと鉄筋コンクリート造が主流を占めておりましたが、我々の大先輩、時の権宮司が明治神宮側の意見として、「最も大切なことは神聖感の維持であり、その中に日本の歴史を感じさせ、神霊の鎮まり給う雰囲気を感得させること。また、明治天皇様は非常に進歩的な方であったと共に伝統の維持も尊重され、神社建築に関しては、木造建築こそ望ましいと仰せられたとも承っておるので、御社殿以下玉垣内は木造、それ以外は鉄筋コンクリート造で」と述べられ、最終的にはその様に復興されました。

腰原:歴史の中で、おそらく再建というのも一つの節目なのかもしれませんが、ここの役割が変化するというか、こういう役割を果たさなければいけないというきっかけになる時期はありましたか。

水谷:昭和50年代の元号法制化の国民運動などが起こった頃ではないでしょうか。あの頃は日本古来のものを守り伝えて行こうと発信していかなくてはならないという動きがありました。明治神宮が何かを発信すると、社会的な注目を集めるということもありますから。

腰原:最近、私たち日本人の意識が大きく変わっている感じがして、いまこそ未来を考えなければいけないという風潮にも色々な変換期のようなイメージがあります。昨年ミュージアムも開館され、過去を継ぎながら次のステージを考えましょうという時でもあるんだと思います。そういう意味で、100年というのがきっかけなのか、そういう時代だからなのか分かりませんが、明治神宮もひとつの転換期なのでしょうか。

廣瀬:そうですね。日本の守り神としてのご存在が終戦を経て、海外からの方々も多く祈りを捧げる神社になったということは非常に興味深いことです。この世のすべてが平和であってほしいという明治天皇・昭憲皇太后の願いを多くの方々が感じとり、国を超え、宗教を超えた、普遍的な祈りのプラットホームになっているのではないかと思われます。

黒田:私は、伝統というのは、一つのものをずっと守り続けていこうとする考え方ではなく、色々試してみて革新しようとした結果、変えることができなかったものが伝統として残っていると考えています。伊東忠太先生は先進的なものをお考えになられ、伝統的な神社建築に還っていかれたということは、そういう伝統と革新の考え方を、社殿で実践されているのではないかと思います。つまり100年の歴史の中で、やはり伝統的な考え方や、形に収斂していくのでしょう。しかしそこに至るプロセスでは、かなり新しいものを取り入れて、適合しようとしています。そういうことを求めていらっしゃるというのは強く感じます。

腰原:歴史環境を継ぐこういう聖地で学生たちが造ると、歴史を読むよりその形態に引っ張られてしまうんです。ここにはこんな歴史があるからということに引きずられ過ぎて「わかりやすい」形を表現したものになってしまいます。やはり歴史を読み解いてその文脈を継ぎ、現代の技法に合わせた未来を予感する先進的な工夫がなければいけませんね。これから100年を考えると、前の100年と同じことをしても、社会も地球環境も全て変化してきているわけですから、このままではいけない。チャレンジして生き残れるかどうかは別として、やはりどこかで見直してみるという作業をし続けることが大切だと思います。また、そうすることで続くのだと思います。社寺建築系は、やはり悪い意味では伝統に引きずられ過ぎてるところがあります。守らなければいけない意識がある。

平沼:参加学生たちは、この流造だけを形態的に模倣したくなるのですよねぇ。

腰原:そう、本当はもっと種類があるということを知らなさ過ぎる。明治神宮の場合は、森から生まれる建築というのが出てきてくれるといいなと思うんです。人工林でさえも100年経てば自然の世界です。今は人の力で守られていますが、本当は人工物としてそこから生まれてくる産物があるという世界も、昔の里山的に考えればあるはずです。

黒田:まさに仰るようにほぼ自然の杜に近づいてきていると言われますし、そこから私たちが日常的に得ているものがきっとあると思うんです。それを可視化したものを通して、明治神宮あるいは神宮の杜のことをさらに理解してもらいたいというのが、オープンしたミュージアムの理念の一つです。

腰原:ワークショップも全く同じです。学生にはその辺りのことをもう少し勉強する時間を持ってほしい。皆さんが100年間守り続けた場所へ行き、そこで何かを感じて、そこに何をすべきかということを、提案してもらいたいという思いがあります。突然、どこかの土地にぽーんとつくりましょう!ではなく、周りに守ってきた人も建物も含めた教材が聖地にはあるわけです。それを見て、どう感じて、自分たちがこれからどうあるべきかというのを考えるというのがテーマです。ぜひ、皆さまには、そういうちょっかいを出していただければと思います。

黒田:学芸員生活をおくる中で、特に日本の近世絵画史を勉強してきました。もう30年以上、絵の歴史を専門にしているのですが、学び得たものに日本の美というのは、ディテール、細部にあると思うようになりました。やはり細部がものすごくよくできているものは、全体も非常にすばらしいのです。その全体のすばらしさを見たり、細部のすばらしさを見たりを行ったり来たりするということが、私が考えている日本の美の鑑賞方法と思うようになったのです。それに基づき、細部に美しさが宿っているということを伝える展示室にしたいというプランが固まっていく過程で、では日本人のどういう特性がそういうことをさせたのかということを当然考えなければいけないと思いました。その答えを明治神宮の杜の中で見つけられないかと思ったんです。明治神宮の杜は広いですからどこへ移動するにもかなり歩かなければいけません。例えば社務所に行く時に寄り道して、御苑に入り、遠回りして杜の近くを通る。何度も何度も通るうちに、人工林ではあるけれどやはり自然林に近づいてきているという旨の話が頭の中に浮かんでくるわけですね。そうすると、段々杜が持っている神秘性みたいなものに気づき始めた。それはある意味、スピリチュアリズムにも通じていると思うようになってきたんです。そして水谷部長や廣瀬部長の日頃の所作を見ればわかることですが、たくさんの神職の方が、祭事の時はもちろんですが、それ以外の日常でも本当にきちんとしていらっしゃるのです。お召しになっている装束も、日本古来の、自然から発した伝統色を使った美しいものです。明治神宮の外から来たばかりの私は、この方々はなんて「折り目正しい」人たちなんだろうと思いました。そして、きちんとしているすなわち「折り目正しい」ということは、日本人の美学に通じるのではないかと確信するに至りました。どうして明治神宮の神職の方はこんなにきちんとしてらっしゃるんだろうと考えていくと、杜の中にいらっしゃるということが関係あるのかなと思いました。無縁ではないだろうと。つまり杜に対してやはり日本人が昔から持っている畏敬の念や謙虚さや誠実さ、そういうものを目の当たりにしたような気がしたのです。ですから、その折り目正しさというのは実は杜に真摯に向き合っておられる方に自然と身につくような、それこそ特性だと思います。明治神宮に所蔵されている美術工芸品は、明治天皇がお使いになっていたもの、昭憲皇太后がお使いになっていたものなど、そして明治神宮に奉納されたものばかりです。言い換えると作り手が、名利が欲しくてした仕事ではなく、本当に明治天皇、昭憲皇太后のため明治神宮のためにという気持ちでつくっているわけです。すなわち、完成した品々のどこを見ても、隅々にいたるまでその思いが細部の美しさとなって造形されているのです。その技は、私は「折り目正しさ」という、やはり日本人の美学と言ってもいい姿勢が支え存在すると思うのです。このような日本の美術工芸品に宿る日本の美を、ミュージアムの展示で伝えたいと思うようになったのです。

櫻井:実は本日、初めて明治神宮に参らせていただいたんです。学生の頃に初詣に来ましたら、あまりにも人が多いことに驚き、恥ずかしながら帰りました。京都で生まれたことも要因して、歴史と伝統がたくさん感じられる場所にいると、足が向かなかったというのが正直なところだったのですが、お話を伺い 1 番びっくりして恥ずかしいなあと思ったのが、民意で建てられたというところです。時の権力とか、宗教とかそういうものではなくて、民意で建てられた経緯から、今、館長が仰っていた話しがあるのだなと思いました。また、まさかこの場でディテールという言葉を聞くと思いませんでした。私はエンジニアとして、ディテールを最も大切にして来ましたし、当社が市場から必要とされるようになれた理由の大きな 1 つでもあります。特に日本の材料というのは、その耐久性からも儚い素材です。儚いものや弱いものを、長く使う知恵や工夫から美しさのディテールが生まれてきたと思っています。

黒田:そうですね。隈研吾先生設計のこのミュージアムは、杜に溶け込むように配慮され、軒先がとても薄く作られています。軒先を薄くすると建物の存在感があまり強調されずに、杜に溶け込むのだそうです。とても美しい建物です。しかし若い学生の方たちには、この建物の美しさをじゅうぶんに理解されたうえで、杜と対峙し、もしかすると異物感のあるものを提案してはどうでしょうか。

平沼:御本殿の銅板の葺き替えをされ、ミュージアムもそれに合わせて準備されてきたと思うのですが、あの場所を選ばれた理由をお聞かせください。

廣瀬:もともとバスの駐車場であった場所で、なるべく木を切らないで済むこと、またアクセスの良い原宿から近い場所であることなどが選定の要因でした。

平沼:森あっての神宮。御本殿あっての明治ですね。館長が仰った折り目正しい所作の美しさを、神職の方や、美術館で働いている学芸の方たちもみんなお持ちで、共通するところがあるんですよね。そういうことからコンセプトに結びつけ、隈建築に対峙するのではなくても、森の影響を美しさで引き出していけるといいですね。

櫻井:さっき仰った美って、見える美と見えない美がありますよね。折り目正しいと仰ったのは、見えない部分のディテールですよね。見える美しさ、見えない美しさの両方を工夫してこの場所で表現できたら凄いことだと思います。

平沼:今回の計画候補地は、原宿駅から第一鳥居前付近、南参道から第二鳥居とそして、玉垣まわりの本当に貴重な設置箇所を10カ所、お預かりいたします。その中で鳥居前付近の候補地を4ついただいていますが、鳥居に影響される学生が多くいると思います。

水谷:私が作品を造るなら第二鳥居前ですかね。第二鳥居は、高さ12m、幅が17.1m 柱の太さが直径1.2m 重さ13t です。木造の明神鳥居としては日本一の大きさということですが、鳥居はそれ自体が御神木ではなく、信仰の対象でもない。よく「結界」だと言われます。なお、建築作品での表現については、自由に創造いただいて結構ですよ(笑)。

櫻井:(笑)お優しい。俗世と聖域というのはそこに一歩入るか、入らないかの違いだけですから、日本人が持っている最高の壁は、鳥居なんだということをお聞きしたことがあります。とても面白い表現ですよね。ロープでも構わないけれど、鳥居という結界の位置づけをもつ文化は、素晴らしいことだと思います。

黒田:参加学生の方が建築をつくられる際に使われる素材は自由ですか?

平沼:地域にある自然素材で、リユースかリサイクルでき、なるべくゴミを出さないものを求めています。

腰原:接続する金物などは仕方がありませんが、インターネットで購入するような流通材ではなく、地域の方たちに頼り集めてくるような素材です。空間を構成する構造材を含めた素材選びや、素材の入手からものづくりが始まっているということを学ばせてください。

水谷:明治神宮では「明治神宮御境内林苑計画」に基づき100年近く、落ち葉は焚き火にせず、折れた枝も森に還すのが基本で、動植物の持ち出しも禁止しております。つまりは希望があれば提供可能な素材を「これ持って行って良いよ」と?(笑)

平沼:(笑)開催が始まりましたら現地説明会の時期にそういうお話をショートレクチャーでお聞かせいただけたら大変ありがたく思います。学生たちはそれを手掛かりに取り組みますので、どうかお願いいたします。

(令和2年2月20日 明治神宮 隔雲亭にて)

         
――― 大変貴重なお話をお聞かせいただき本日はどうもありがとうございました。このワークショップが参加学生にとって、とても貴重で意義深いものになると思います。そして将来、この場所で開催した意義につながるような提案作品を募りたいと思います。

聞き手:宮本勇哉 (AAF│建築学生ワークショップ2021運営責任者 )


 


アーカイブ / Archive
△ トップに戻る
Copyright 2016-2021 Art & Architect Festa. © AAF All rights reserved.